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介護施設のBCP対策とは?義務化・事例・作成ポイントを徹底解説

介護施設におけるBCP(事業継続計画)は2025年現在、法的にも義務化されており、災害や感染症など多様なリスクから利用者の安全と事業継続を守るために欠かせません。本記事では、BCPの基本から介護施設に特化した策定方法、具体的事例や実践ポイントまで徹底解説し、現場で役立つ実践的なノウハウを得ることができます。 

BCPとは何か?

BCP(事業継続計画)の基本概要 

BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)は、自然災害や感染症、火災などの有事の際にも事業活動を止めず、または早期に再開・復旧するための具体的な計画です。

企業や公共機関、医療・福祉施設など、多様な組織において策定が重視されています。特に介護施設では、利用者の生命や安全に直結するため、早急かつ実効性のあるBCPの整備が不可欠です。 

BCPは従業員の安全確保だけでなく、新たな災害発生時の施設運営やサービス提供の安定にも寄与します。想定されるさまざまなリスクに対して「どの業務を優先的に継続するか」「必要な資源や人員をどう確保するか」「誰がどのような役割を担うか」などをあらかじめ定めることを目的としています。 

BCPの目的と重要性 

BCP策定の最大の目的は、通常時だけでなく、災害発生時や感染症拡大などの非常時においても、施設のサービス提供を中断させないことです。介護施設では、高齢者や要介護者など要配慮者が多く、避難や感染症対策に迅速かつ的確な判断が求められます。BCPにより従業員への周知徹底・対応基準を明確にすることで、混乱を最小限に抑えることが可能です。 

また、BCPには次のような重要な役割があります。

 

目的・役割  具体的内容 
安全確保  利用者や従業員の命を守る体制構築・適切な避難誘導 
サービス継続  介護サービスの停止・中断を最小限に抑える方法の明確化 
社会的責任の履行  地域住民や関係機関への協力、社会的役割の維持 
風評被害・信用棄損の防止  災害発生時の適切な対応により信頼性を維持 

 

BCPは単なる計画書作成だけでなく、日常業務と一体化し、災害・非常時にも確実に機能するよう訓練や見直しを繰り返すことが重視されている点も、介護施設におけるBCPの大きな特徴です。 

 

介護施設におけるBCP義務化の背景 

介護施設に対するBCP策定の法的義務と厚生労働省の指針 

2021年4月より、介護施設等において事業継続計画(BCP)の策定が義務化されました。

これは、厚生労働省が定める「介護保険法」の改正および「業務継続計画(BCP)策定ガイドライン」に基づくものであり、全国すべての介護保険サービス事業者に適用されています。義務化される背景には、地震や台風などの大規模災害、感染症拡大など、有事の際にも社会的に不可欠な介護サービスを継続的に提供し、利用者の生命と生活を守る必要性が強調されています。 

厚生労働省によると、BCP策定の義務化は、介護サービスの安全確保・安定供給を目的とし、介護現場の事業継続力を強化するために不可欠な施策です。介護従事者や利用者が被災するリスクを最小化し、外部機関(消防・医療機関・自治体等)との連携も図ります。

 

法律・指針名  主な内容  対象 
介護保険法  介護事業者はBCP策定に取り組むことが義務  全ての介護サービス事業所・施設 
厚生労働省ガイドライン(BCP策定)  リスクアセスメント、体制構築、定期的な訓練の実施等  各事業所管理者・責任者 

義務化された時期とその経緯 

BCP策定の義務化は、「令和3年度(2021年)」の介護報酬改定時に正式に導入され、段階的な経過措置を経て、2024年度から完全義務化されています。 

この法改正の背景には、2011年の東日本大震災や近年増加する大型台風・水害、2020年前後の新型コロナウイルス感染症拡大などにより、多くの介護施設でサービス提供に重大な支障が生じたことが挙げられます。要配慮者(高齢者・認知症利用者等)が多く入所する介護施設では、災害や感染症発生時にも継続的にサービスを維持する社会的責任があり、国や自治体からも「事業継続」の観点が強く求められるようになりました。 

また、国が示すBCPガイドラインでは、災害や感染症流行時に備えるべきポイントや体制整備、安否確認・連絡体制の強化、定期的な訓練・見直しの必要性などが明確に打ち出されています。今後は、BCP策定・運用が介護施設運営の「標準」となることが期待されています。 

 

 尾添の視点BCPの策定義務化により、今年4月以降にBCPを策定していない事業者は基本報酬減算のペナルティ対象となっています。

介護施設が直面するリスクとBCPの必要性 

介護施設は高齢者や要介護者など、健康面で配慮が必要な方々が多く生活しているため、災害や感染症などのリスクが発生した際の影響が極めて大きい特徴があります。これらのリスクに対して的確に備えるためには、事業継続計画(BCP)の策定と運用が不可欠です。BCPは、想定される危機的状況下においても、入居者の安全とサービス提供の継続を確保するための計画です。 

自然災害(地震・台風・水害) 

日本では地震や台風、豪雨などの自然災害が多発しており、介護施設も例外なくこれらの脅威にさらされています。特に地震による建物被害や停電、台風や水害による浸水、道路寸断が施設運営に深刻な影響を及ぼします。過去の自然災害では、避難が困難な高齢者や障害者の搬送、食料や医薬品の調達不足といった課題が浮き彫りとなりました。 

災害の種類  想定される主な被害  介護施設への影響 
地震  建物の損壊、ライフライン停止、避難困難  入居者の安全確保、生活物資の不足、通信途絶 
台風・水害  浸水、停電、道路遮断  スタッフ出勤困難、避難経路の遮断、衛生環境悪化 

 

このようなリスクに対して、日頃から事前準備と体制構築を行い、災害発生時にも入居者の命と健康を守り続ける仕組みの整備が求められています。 

感染症(新型コロナウイルス等) 

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)やインフルエンザなどの感染症も、介護施設にとって重大なリスクです。閉鎖的な環境に多くの高齢者が集団生活をしているため、感染症が発生した場合は施設内での拡大リスクが高いといわれています。 

さらに、感染拡大による職員の出勤停止、医療機関や外部との連携の妨げ、入居者・家族の不安の増加など、多岐にわたる影響があります。施設運営が一時的に停止せざるを得なくなるケースや、感染対策に必要な物資の調達に支障が出る場合も想定されます。 

感染症リスクの例  主な対応課題 
新型コロナウイルス  感染拡大防止対策、職員配置体制、来訪者制限 
インフルエンザ  集団感染対策、予防接種の推進、健康観察 

 

これらの事態に対して、BCPの策定によって、感染症拡大時にも事業をできる限り継続し、入居者や職員の生命・健康を守るための具体的な行動計画を整備する必要があります。 

以上のように、介護施設は自然災害や感染症といったさまざまなリスクに直面しているため、事前にリスクを想定し、危機時でもサービスを継続できる体制を構築することが非常に重要です。これは、入居者と職員双方の安全を守るだけでなく、地域社会の安心にもつながります。 

尾添の視点:BCPとあわせて感染対策委員会の設置も義務化されています。施設系事業所では3ヶ月に1回以上を基本として感染症の発生予防と発生時の対応について検討し、職員に周知徹底することが求められています。

介護施設のBCP策定に必要なポイント

リスクアセスメントと優先業務の特定 

介護施設におけるBCP(事業継続計画)策定の第一歩は、施設が直面するリスクの洗い出しと、優先して継続すべき業務の明確化です。地震・台風・水害などの自然災害や、新型コロナウイルスのような感染症の拡大時にどのような業務が最も重要か、また、どの業務が最低限継続されるべきかを判断します。これにより、施設利用者の安全と生活の質を守る具体的な指針が定まります。 

想定されるリスク  継続すべき優先業務  対応例 
地震・水害  利用者の安全確保、避難誘導  避難ルートの整備・避難計画策定 
感染症流行  健康管理、隔離対応  ゾーニング・感染対応マニュアル作成 
電力・通信障害  食事・水分提供、医療連携  非常電源・備蓄確保 

体制整備:役割と責任の明確化 

BCP実施時には、従業員の役割・責任を明確にすることが不可欠です。災害発生時や緊急時の担当者、指示系統、意思決定プロセスを平時から定めておくことで、混乱を防ぎ、迅速かつ的確な対応につなげられます。また、拠点ごとやシフト別の責任者設置も有効とされます。 

避難・連絡手段の確保 

万が一の際に備え、避難経路の策定や避難場所の周知、安否確認のための複数の連絡手段の確保が求められます。電話やメール、SNS、掲示板など、異なる通信インフラも活用し、多重化することが重要です。利用者・家族への定期的な情報発信体制や、設備点検・避難訓練の実施も大切です。 

要配慮者の対応と安否確認体制 

介護施設には、高齢者や要配慮者が多く在籍しているため、個々の状態や必要な支援内容に応じた対応策を定めておく必要があります。車いす利用者や医療的ケアの必要な方への特別な支援計画、非常時連絡先リストや安否確認手順も文書化し、職員に周知します。

要配慮者の例  必要な支援・配慮 
車いす利用者  専用の避難ルート確保、介助スタッフ配置 
認知症高齢者  混乱時の見守り強化、付き添い支援 
医療的ケア児・者  医薬品・医療機器確保、緊急時の連絡先明記 

情報管理と外部連携 

災害時・緊急時にも必要な情報を迅速かつ正確に管理・共有する仕組みの構築が不可欠です。利用者台帳や安否情報、連絡先リストは電子・紙両方でバックアップし、遠隔地のサーバーやクラウドサービス利用も検討します。また、地域の自治体、医療機関、消防署、行政との連携体制をつくり、共有のマニュアルや訓練を重ねることも大切です。 

定期的な訓練・検証・見直し 

BCPの実効性を確保するには、定期的な訓練・シミュレーション・見直しが必須です。机上での訓練のみならず、実際の設備や人員での対応訓練(実地訓練)を行い、想定外の課題や改善点を明らかにします。また、訓練後には必ず振り返り会議を実施し、計画内容の見直しや、職員からの現場意見の反映も行います。これにより、実効性の高いBCPを維持できます。

尾添の視点

尾添 純一(株式会社センテニアルズ 代表取締役)
保有資格:介護福祉⼠、福祉住環境コーディネーター2級経歴:都市銀行、コンサルティング会社を経て 2011年の通所介護(デイサービス)開業以来、介護業界において居宅介護支援・訪問介護・福祉用具など様々な事業に取り組む。
現在も介護事業フランチャイズの展開やコンサルティングなどを通じて業界内の幅広い分野で活動しており、セミナー登壇や執筆実績も多数。

介護事業者のBCPにおいて事業所内の役割分担や連携体制、また地域関係者との協力体制の構築は言うまでもなく重要ですが、もう一つ見落とされがちな視点があります。それは、利用者・入居者自身の「自助力」向上です。

日常的な健康維持や運動・リハビリを通じて少しでも長い距離を自分の足で歩けるよう支援することも効果的な防災・予防策の一つであり、それが緊急時の避難の成否につながり、そして安全確保につながります。また介護職員の負担軽減にもつながります。高齢化が進む中、自立や自助といった「自」をキーワードとした取り組みも持続可能な介護サービスの基盤となり得ます。施設の備えと利用者・入居者の自助力向上、この両輪でBCPの実効性を高めることも大切です。

まとめ 

まとめ:介護施設のBCP対策は、災害や感染症など多様なリスクに対応し、利用者やスタッフの安全を守るために不可欠です。2021年から義務化されたことで、厚生労働省の指針に従い、計画的なリスク対策が全国の介護施設で求められています。適切なBCP策定と実践が、施設運営の安定と信頼につながるといえるでしょう。

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 介護施設に特化したDXパッケージ「介護施設DX」の開発・販売
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